
デジタルPCR解析とは、単にPCR反応により目的の遺伝子を増幅させるのみならず、その試料中にどれくらいの濃度でその遺伝子が含まれていたかを定量的に知ることができる新しい手法です。
これは、試料を適切に希釈し、かつ微量ずつの多数の分画に分けることから始まります。
なぜこんなことをするかと言えば、個々の分画にはその遺伝子が含まれていないくらいに希釈されてしまっているか、あるいは含まれたとしてもただの1個だけという状況を作り出すためです。
0か1かという二択の状況とするわけで、これがデジタルの意味合いでもあります。
その上で、全ての分画に対してPCR反応を起こすと、1個含まれていた分画は大量に遺伝子が増幅されて検出にかかる一方で、0個の分画はいくら反応させても0個のままで増えることはなく、当該遺伝子が検出されることもありません。
多数の分画の中で、元は0個であったものと1個であったものとの比率が分かるわけです。
これと当初の希釈度とを合わせて計算すれば、試料中の遺伝子の濃度も計算できることになります。
確かにこれは理想的な状況であり、いくらうまく状況を整えても、一定の割合で一つの分画に2個とか3個やそれ以上の遺伝子が含まれるものが存在してしまうことは避けられません。
しかしそれは非常に多数の分画を用意することで確率的に予測できますので、このことも含めてコンピューター解析によって濃度計算を行うことができるようになっています。